【朝日新聞紙上セミナー連動企画】Vol.4 地震に強い家

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Vol.4 地震に強い家

壁の量と配置、接合部に注意したい

yamabe4_8368一生に一度のビッグプロジェクトともいえる家づくり。せっかくなら、とことんこだわって、子供から孫へと家族が愛着をもって住み続けられる家をつくりたい。日本の木造住宅における知恵や技術を科学的に検証している構造設計の専門家、山辺豊彦さんが「地震に強い家」について語る。

山辺構造設計事務所
山辺豊彦さん

やまべ・とよひこ/石川県生まれ。法政大学工学部建築工学科卒業後、青木繁建築研究室へ。1978年に山辺構造設計事務所を設立。日本建築構造技術者協会(JSCA)前東京代表。著書に『住まいを守る耐震性入門』など。

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耐震性の高さの鍵は
適切な設計と施工

 最近は味わいがあり、心安らぐ木の家を求める人が増えています。木造の家は地震に弱いといったイメージを持つ人もいるようですが、そんなことはありません。家が地震に強いか弱いかは、工法の違いよりも、しっかりとした耐震性を持つよう適切に設計され、施工されているかどうかにかかっています。

 過去の大地震による家の倒壊などについて調べると、最大の原因は壁の量が足りないことだと分かっています。地震の揺れに耐えるには、筋交いや貫などを含めた耐震壁の量が十分にあることが大切です。軸組み工法の家は柱と梁によって上下の方向にかかる力に対しては強くできています。しかしそれだけでは水平方向の力に弱く、地震による横方向の揺れで変形し、倒壊してしまいます。

 そこで現在の木造住宅では、耐震壁で地震の力に抵抗することを耐震設計の基本としています。建築基準法でも、一定の耐震壁の量を確保することが義務づけられています。

 量だけでなく、壁がバランスよく配置されていることも大切です。南側の窓を大きくとって壁が少なかったりすると、その面が大きく揺れて、倒壊につながることもあるので注意が必要です。

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 また木造軸組み工法の家はたくさんの部材を接合してつくります。地震による大きな力が加わったときは家自体が変形して力に耐えます。そのためにも接合部がしっかりしている必要があります。近年は伝統的な仕口や継ぎ手といった木組みに加え、金具を使ったより強い接合のしかたが研究され、採用されています。

床や吹き抜け、地盤や基礎も
耐震性に大きく影響する

 あまり意識されることはないのですが、床も耐震性を確保するうえで重要な要素です。最近は開放的な吹き抜けを希望する人も多いようですが、吹き抜けをつくると床の面積が減ります。その分の強度をどこかで保つような設計をする必要があります。階段も吹き抜けの一種のようなものなので、吹き抜けとの距離を取るなどの配慮が必要です。

IMG_6959_R-266x400 また同じような家でも地盤によって、地震で受けるダメージは大きく異なります。地盤にあわせた適切な地盤改良や基礎工事を行わなくてはなりません。最近は家を新築するときに地盤調査をすることも一般的になってきました。1回数万円程度でできるので、ぜひ調査をおすすめします。鉄筋コンクリートでつくる基礎は、家の重さを長期間にわたって受けとめ、地震が起きたときには家が受ける力を摩擦力に変えて地盤に伝える役目を果たします。基礎の施工の良しあしも、耐震性に大きな影響を与えます。

 家は長い年月にわたって設備や家具、そこで暮らす人を支え、雨、風、雪などにさらされています。木造軸組み工法の家は柱や梁などの軸組みで家の重みを支えていますが、軸組みがしっかりしていないと梁がたわみ、建具の開閉に不具合が起きたり、床が傾いたりすることもあります。耐震性の面だけでなく、日々を快適に暮らし、次世代へと長く住み継いでいける家をつくるためにも、家の構造についてもっと多くの方に関心をもっていただきたいと思います。 (談)

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朝日新聞×匠の会 Webセミナー 次回のテーマは 「地震に強い家」 です。
どうぞお楽しみに。

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