匠の役割〜家守り〜〔全13話〕


第十一話【家守り】給排水(配管)について

今回は不具合、損傷が起こると家に大きな被害がでてしまう給排水設備です。

 

●給水設備とは水道水を家の各所に巡らせる配管の事を指します。

この配管に不具合や破損が起きると漏水が起きます。水道管には水圧がかかっているので一度破損すると破損個所の配管を直さない限り水を止めることは困難になります。

 

家の中で漏水が確認できた場合は速やかに水道メーターのバルブを閉めて普段メンテナンスを行っている業者に連絡して対応してもらうようにして下さい。

家の中での漏水は比較的早く気付く事ができるのですが、床下や家の外側で漏水が起きた場合気付くまで時間がかかってしまうことが多いです。

・水道局からの連絡(使用している水道の量の急変による)

・普段乾いてる地面が湿っていたり、水が湧き出てくる

・水を使っていないのに水道メーターが動いている

等で気付く事が多いようです。

水道管の破損等による漏水した場合、水道使用量が増え水道料金が上がってしまいます。その場合、工事事業者の発行する漏水証明書があると昨年度の同じ月の水道使用量で計算し直してもらえます。

被害を最小限に抑えるためには、水道メーター(バルブ)の場所を把握し、漏水が起きた時に水道のバルブを早く閉める事が大切な事となります

 

●排水設備とは家で使用した後の雑排水を敷地外へ流す配管設備の事を指します

排水管は勾配をつける事で自然に雑排水を外に流すので配管が詰まりやすい事を知っておきましょう。又、給水管の漏水と違い時間をかけて漏水する場合もあり気付きにくい場合もあります。

家の中での排水管からの詰まり、漏水の原因として多いのは

・排水管の詰まり(油、固形物等)

・洗濯機、洗面台、台所等の排水ホースの接続不良

等が多いです。

家の外側での排水設備の破損、詰まりの原因として多いのは

・排水桝の破損、排水管の接手の破損により土、木の根が排水管の内に入り込んでしまう。

・永年の土圧により外部排水管の勾配が緩くなり自然放流がしにくい状態になっている。

等があります。

 

排水管の詰まりは比較的早く気付けると思いますが漏水については気付きにくい場合が多いです

・壁、天井にシミができた。

・今までにないような匂いがしてくる。

・床下が濡れている。

等です。

 

【排水管のメンテナンス等による注意事項】

・家の中の排水管の詰まりを直す方法で高圧洗浄による配管内清掃がありますが誤った作業により排水管を破損する事例が報告されていますので注意が必要です。

・最新の便器(節水型)に交換後、よく詰まるようになった。(昔の便器に比べて1回に流す水の量が半分以下になっている事もあり注意が必要です)

 

ここに書いたお手入れにはご自身では出来ない場合もあると思います。お気軽に匠の会にご相談ください。

 

この学び場では家のメンテナンスに関する情報をみなさなにご提供させて頂きながら、自分の家を少しでも長く良い状況で住まい続ける基本的な知識を身に着けて頂ければと思います。

 

次回は「内装材(床・壁・天井)について」の話です。

お楽しみにして下さい。

 

第九話【家守り】建具(外部サッシ)について

 

 

今回は、建物内への人や風、光の出入り口の外部サッシと内装建具についてのお手入れについて考えてみましょう。

 

外部サッシは、開口部として室内への人の出入りや風、光を取り込みながら、時には風雨を防ぐという相反する二面性の役割をもつ部位です。
雨戸や網戸と併用して使われる事も多く、しっかりお手入れをしないと台風の時などに外れてしまい大変危険です。
日頃から開閉動作を繰り返している部位なので、普段のお手入れと異常動作に早く気付く事が重要です

ここでは多く使用されている引き違いサッシと上げ下げサッシについて書きます。

 

外部サッシのお手入れと注意事項

 

引き違いサッシ

・敷居レールにゴミやほこりがたまらない様にこまめに掃除機や濡れた布巾で掃除してください。

・建具を閉めた時に戸当たり部の上下の隙間が違ってきた場合は戸車の調整が必要ですそのまま使っていると枠の破損や雨水侵入をおこす可能性があります。

・クレセントのぐらつきや、クレセントの開け閉めがスムーズに動作しない場合は調整が必要です。

 

上げ下げ窓

・クレセントのぐらつきや、クレセントの開け閉めがスムーズに動作しない場合は調整が必要です。

・可動させている建具がぐらついたり、しっかり建具が静止しない場合はメンテナンスが必要です。

 

次に漏水事故の報告が多いトップライトです

トップライトは屋根に付いているサッシで明かり取り等に有効ですが、落ち葉等がサッシ廻りに堆積したり、ガラス面やアルミ部材のシール材の劣化による漏水が報告されています。10年を目途にシールの打ち換えや、随時サッシ廻りの水の通り道にゴミが溜まらない様に清掃する事が大切です

ここに書いたお手入れにはご自身では出来ない場合もあると思います。お気軽に匠の会にご相談ください。

この学び場では家のメンテナンスに関する情報をみなさなにご提供させて頂きながら、自分の家を少しでも長く良い状況で住まい続ける基本的な知識を身に着けて頂ければと思います。

次回は「内装建具について」の話です。お楽しみにして下さい。

 

第八話【家守り】シロアリについて ※画像閲覧注意・シロアリ画像あり※

今回は、みなさまの大切な財産の【家】を食糧にしてしまうシロアリについてです。

長い間放置すれば建物の構造にも支障をきたす恐れのある生き物です。
その特性を知り、気を付けなければならない事を考えてみましょう。
シロアリには大きく分けて地下型と飛来型の2種類がいます。

【地下型の代表的なヤマトシロアリ、イエシロアリについて】

地下型シロアリは、土中から蟻道(シロアリが通るトンネル)を基礎などに作り建物に侵入します。
土中から水分を摂取し、土台や柱等の木材(セルロース)を主に食害します(特に水分の多い木材を好みます。)

予防措置としては、土壌防蟻処理や、地面より1mまでの木部の防蟻処理、特に乾燥が苦手なので湿気対策を行う事が有効な手段になります。

・ヤマトシロアリ

羽アリの体長は4.5mmから7.5mmで、発生時期は4月~5月頃の日中(雨上がりの蒸し暑い時間帯)に巣から飛び出して、新たなコロニーを形成し、1つのコロニーは、1万~5万匹で形成されています。主に水回りの土台や床より1mぐらいの柱に被害が集中する特徴があります。

・イエシロアリ

羽アリの体長は6.5mm~8.5mmで、発生時期は6月~7月頃の蒸し暑い日の夕方から夜間に飛び出し、新たなコロニーを形成し、一つのコロニーは、10万~50万匹で形成されています。

ヤマトシロアリとは違い、地上から屋根裏までの広範囲に被害が発生します。個体数が多い為被害の進行も早いです。

【飛来型の代表的なアメリカカンザイシロアリについて】

アメリカカンザイシロアリは、元々日本には居なかった外来種です。主に輸入木材や家具などから日本国内に侵入し、今では全国に生息しています。
建物に直接飛来し、外部に面した木部、換気口、窓から侵入します。特に乾燥した木材を好み小屋裏の被害が多いです。
また土中には存在しないので蟻道がなく発見が難しいです。
木材の中を食害しながら移動する際、ゴマ粒状の糞を外に出す為(写真アリ)これを見つけることが早期発見につながります
羽アリの体長は6.0mmから8.0mmで、発生時期は主に6月~11月頃ですが環境によっては1年中飛来する可能性があります。
20匹程度の小さなコロニーを形成して、これが数多く点在するのが特徴です。

予防措置は建物全体のホウ酸防蟻処理などが有効とされてます。

地下型シロアリの予防措置(メンテナンス)は、日本シロアリ協会の通達により土壌汚染や健康被害の観点から以前に使われていた効果の長い薬剤は使えなくなり、持続効果が最大で5年間です。なので建物内に散布されたホウ酸系処理についても5年置きに点検を行う事が推奨されています。

尚、上記は地下型のシロアリに対する対策なので、アメリカカンザイシロアリについては現在防蟻保証がつく工法はありません。(新築の場合は保証のつく場合もあります)

シロアリの被害が起こると、皆様の大切な財産である家が破壊されてしまいます。
みなさまでも出来るシロアリ対策がありますので、是非トライしてみてください。

・建物に隣接して木を植えない。木材、段ボールを置かない。
・物置などを外壁に密着させない。
・床下点検口など、基礎を目視出来るようにする。
・土間、外壁のクラックを塞ぐ。
・室内に湿気が溜まらないように換気に心掛ける。
・タンスの下や裏の壁面を定期的にチェックする。(結露などで湿気がないか)
・普段使用していない堀こたつ、床下収納庫をチェックする。
・羽アリが発生する時期に家の周りや窓レールに羽が落ちていないか確認する。
・近所の新築、改修工事などで防蟻工事が行われた後は注意が必要になります。

気になる箇所やシロアリを発見したら、すぐに近くの工務店に相談してください。
被害が大きくなる前に、対処することをオススメします。

「匠の家守り(全13話)」では家のメンテナンスに関する情報をみなさなにご提供させて頂きながら、自分の家を少しでも長く良い状況で住まい続ける基本的な知識を身に着けて頂ければと思います。

次回は「建具(外部サッシ・内部建具)について」の話です。

お楽しみにして下さい。

 

 

 

第七話【家守り】住まいのメンテナンス~外壁のメンテナンス②

前回の外壁のメンテナンスのモルタル編に続き、
今回はサイディングの外壁に関するメンテナンスについて書いてみたいと思います。

サイディングの外壁には大きく分けて、
①窯業系サイディング
②金属系サイディング
③樹脂系サイディング
④木質系サイディング
の4種類があります。今回はその中でも、多く採用されている窯業系サイディング、金属系サイディングのメンテナンスについて話です。

●窯業系サイディング
サイディングで一番多く使われているのが窯業系サイディングです。セメントをベースに繊維を配合して窯で仕上げた板材のことを指します。耐久性、耐火性に優れていて外部からの衝撃にも強いという特徴があります。
また、デザインやカラーバリエーションも豊富であらゆる外観スタイルに対応が可能です。
耐用年数は、一般的には25~30年といわれています。
窯業系サイディングのメンテナンスは定期的な表面の塗装(塗膜)と
接合部のシー  リング材の打替えが必要になります。

●金属系サイディング
代表的なものはガルバリウム鋼板です。耐食性、耐久性に優れていて窯業系サイディングの1/4ほどの重量なので耐震性も良いとされています。水を吸い込む素材ではないので寒冷地でも安心して使うことができ、素材は35年~40年もつと言われています。
決してさびない商品ではなく、表面についた傷や鋼板の端部などから錆が発生する場合や白錆やもらい錆などがおきることがあるので、塩害地域、工場地帯などが近い場合は注意が必要です。
窯業系サイディングよりシーリング材を使用している部位は少ないのですが定期的なシーリング材の打ち替えが必要です。
表面については10年おきぐらいに錆等がでているかチェックを行ない、必要に応じて塗装を行うのが良いでしょう。

●塗装材の種類
・アクリル塗装材:比較的安価だが耐久性にかける(5~8年)
・ウレタン塗装材:一般的によく使われているが耐久性は少し落ちる(8~10年)
・シリコン塗装材:最近多く使われている耐久性も良い(10~12年)
・フッ素塗装材:耐久性に優れた塗装材、細かいヒビが入りやすいのが難点(12~15年)
他にも、光触媒塗装材や遮熱塗装材など多機能な塗装材もあります。

●シーリング材
・アクリル、ウレタン:比較的安価だが耐久性にかける(5~7年)
・シリコン、変成シリコン:アクリル、ウレタンより耐久性は良い(5~10年)

●耐久性を落とす立地条件
・海が近い(塩害地域)
・山、林に隣接している
・車の交通量の多い道路に隣接している(排気ガスなどで劣化をおこす)

みなさまで出来るチェック項目
・表面にチョーキング現象(チョークの粉のようなものができる現象)がおきていないか
・表面にヒビ、割れ、剥がれが出来ていないか
・表面が下地から浮いていないか
・外壁が反り返ったり波打っていないか
・外壁に藻やカビが生えていないか
・外壁に錆がでていないか(金属系サイディング)
・シーリング材にヒビ、割れ、浮きがないか
・シーリング材に弾性があるか

サイディングのメンテナンス周期を考えると塗装(塗膜)よりシーリングのメンテナンス周期が短いということに注意することが必要です。またシーリングを施工している部位は接続部や開口部の付近など雨漏りが多く発生している場所です。シーリングの早めのメンテナンスが建物を守るうえでも重要になると思います。

「匠の家守り(全13話)」では家のメンテナンスに関する情報をみなさなにご提供させて頂きながら、自分の家を少しでも長く良い状況で住まい続ける基本的な知識を身に着けて頂ければと思います。

次回は「シロアリについて」の話です。
お楽しみにして下さい。

第六話【家守り】住まいのメンテナンス~外壁のメンテナンス①~


壁のメンテナンス:1 (モルタル編)

大切な【家】を雨、風から守る重要な役割がある外壁が今回のテーマです。
屋根と同じく直接、風雨や太陽光、外気の寒暖にさらされ劣化の激しい部位です。定期的な点検やメンテナンスを怠ると、雨漏りが起こり【家】にダメージを与えることにつながります。
今回は一般的に多く普及しているモルタル下地、吹付塗装仕上げの外壁メンテナンスについて書いてみたいと思います。

モルタル下地は家を火や風水から守る為の壁と考えてください、そのモルタルはアルカリ性の性質を持ち雨水等の酸性の物にさらされると中性化が進みモルタルそのものがボロボロになってしまいます。
そうならないように表面の塗装で膜をつくりモルタルを保護している状態を維持していくことが大切です。

メンテナンス方法としては定期的な塗装(塗膜)を行うことになります。
塗装の対応年数にはばらつきがあり塗装材の種類、立地条件によっても大きく変わってきます。

 

  • 塗装材の種類

・アクリル塗装材:比較的安価だが耐久性にかける(5~8年)
・ウレタン塗装材:一般的によく使われているが耐久性は少し落ちる(8~10年)
・シリコン塗装材:最近多く使われている耐久性も良い(10~12年)
・フッ素塗装材:耐久性に優れた塗装材、細かいヒビが入りやすいのが難点(12~15年)
他にも、光触媒塗装材や遮熱塗装材など多機能な塗装材もあります。

  • 耐久性を落とす立地条件

・海が近い(塩害地域)
・山、林に隣接している
・車の交通量の多い道路に隣接している(排気ガスなどで劣化をおこす)

  • みなさまで出来るチェック項目

・表面にチョーキング現象(チョークの粉のようなものができる現象)がおきていないか
・表面にヒビ、割れ、剥がれが出来ていないか
・表面が下地から浮いていないか
・外壁に藻やカビが生えていないか

 

 

よくある質問 塗装は何回塗るのが良いですか?」

A:
塗装は、塗る回数を増やせば塗膜が厚くなるのでその分耐久性があがりますが、その分費用がかかります。下地の状況、塗装材の種類にもよりますが、外壁の洗浄、下地処理(クラック、ヒビなど)下地シーラー、中塗り、仕上げ塗りで行うのが一般的であると思います。

いかがでしたでしょうか?

「匠の家守り(全13話)」では家のメンテナンスに関する情報をみなさなにご提供させて頂きながら、自分の家を少しでも長く良い状況で住まい続ける基本的な知識を身に着けて頂ければと思います。

次回は「外壁のメンテナンス2(サイディング編)」についての話です。
お楽しみにして下さい。

第五話【家守り】防水のメンテナンス

 

 

 

大切な【家】を雨、風から守る重要な役割があるベランダ防水が今回のテーマです。

屋根と同じく直接、風雨や太陽光、外気の寒暖にさらされ劣化の激しい部位です。屋根と大きく違うのは勾配が緩い事、人が乗ったりする事です。定期的な点検やメンテナンスを怠ると、雨漏りが起こり【家】にダメージを与え、それに伴う補修費がかさむ事につながります。

今回は、ベランダ防水について解説していきます。
木造住宅のベランダ防水の種類には大きく分けて3種類あります。

①FRP防水
ベランダ防水によく使われている工法です。軽量で歩行用に向いていて耐久性も優れています。
しかし、硬質であまり広い場所には向かない、比較的メンテナンス周期が短いなどがデメリットになります。

②ウレタン防水
場所を問わず使われる事が多い工法です。施工性が良く、改修工事やメンテナンスでも使われることも多いです。
耐用年数が5~10年と比較的短いのがデメリットになります。

③シート防水
耐久性、対候性に優れていてベランダだけでなく広い陸屋根にも使われている工法です。
耐用年数は10年~15年位で、ウレタン防水より比較的長いです。

 

よく使われる「FRP防水」について

ここではベランダ防水で一番多く使われているFRP防水について詳しく書いてみたいと思います。
FRP防水はガラスマットに防水用ポリエステル樹脂を塗り込んだ2層の防水層とトップコートからなりたっています。
防水層は15年~20年持ちますがトップコートが8年~10年でメンテナンスが必要になります。トップコートは紫外線などから防水層を守る大切な部位なので、メンテナンスが必須になります。

 

 

【要チェック】自分で出来る「防水メンテナンス」チェック項目

・表面にチョーキング現象(チョークの粉のようなものができる現象)がおきていないか
・表面にヒビ、割れ、剥がれが出来ていないか
・表面が下地から浮いていないか
・排水口にゴミが詰まってないか
・台風、大雨時に水が溜まっていないか

実はベランダからの漏水事故で一番多い原因は、排水口が塞がった事によるオーバーフローによるものだそうです。台風や大雨が予想される前には、ベランダの排水口のチェックや床の清掃、洗濯物の取り込み等を行うよう心がける事が大切になります。

このページでは家のメンテナンスに関する情報をみなさなにご提供させて頂きながら、自分の家を少しでも長く良い状況で住まい続ける基本的な知識を身に着けて頂ければと思います。

次回は「外壁のメンテナンス①モルタル編」についての話です。お楽しみにして下さい。

第四話【家守り】屋根のメンテナンス

大切な【家】を雨や風から守る重要な役割をしている「屋根」が今回のテーマです。

屋根は直接、風雨や太陽光、外気の寒暖にさらされ劣化の激しい部位です。定期的な点検やメンテナンスを怠ると、雨漏りが起こり【家】にダメージを与え、それに伴う補修費がかさむ事につながります。

ここでは一般的な3種類の屋根のメンテナンスついて説明していきたいと思います。

【瓦屋根】
一般的には粘土瓦とセメント瓦に分けられます。素材の性質に大きな違いがあり、粘土瓦の場合瓦自体に吸水性がないことから塗装等のメンテナンスが必要ありませんが、瓦の下地の防水層(ルーフィング)の張替えが25年~30年を目安に必要になります。瓦自体は既存の物を再利用し、50年~60年後再施工となります。

セメント瓦の場合は素材に吸水性が有る為に10年~15年ごとに表面を塗装する必要があり、25年~30年で新規に吹き替えが必要となります。

素材に吸水性がある場合、水を素材が吸込むこと凍結で割れが生じ、素材の中性化による劣化割れが起こり易くなり、屋根材がもろくなり破損します。

共通して瓦屋根は棟瓦があり、その棟瓦と平瓦の隙間に漆喰が塗られています。棟瓦が崩れないようにする為のものですが、その漆喰は10年~15年おきにメンテナンスが必要になります。その時に一緒に棟瓦を押さえる銅線も交換するといいでしょう。

【コロニアル屋根】
コロニアル屋根は、軽くて建物に負荷を与えない為、大々的に普及した屋根材です。素材に吸水性が有る為に10年~15年ごとに塗装を行う必要があり、25年~30年で吹き替え工事が必要になります。

また、棟等に鋼板を使っている場合、鋼板をとめている釘のチェックを塗装時することをおすすめします。

メンテナンスで、塗装工事を行った後に雨漏りがするようになったと相談を受ける事があります。コロニアル屋根の特性上、板と板を半分ずつ重ねてはっているのですが、塗装をすることでその重なった場所(水の逃げ道)を塞いでしまい、雨漏りしてしまった事例が発生しています。タスペーサーと呼ばれるパッキンの使用や塗装後の材料どうしの縁切りなどの対策が必要になります。

【ガルバリウム鋼板屋根】
鉄の鋼板に亜鉛+アルミ+シリコンのメッキをした物で一部マグネシウムも入っていて耐候性をあげている屋根材です。コロニアルよりも軽く、一般的に塗装等のメンテナンスが必要ないとされて普及されている素材です。35年~40年もつといわれています。

けっして錆ない商品ではなく、表面についた傷や釘を打った付近、鋼板の端部などから錆が発生する場合や、白錆、もらい錆などが報告されています。塩害地域、工場地帯が近い場合や勾配が緩い屋根も注意が必要です。10年おきぐらいに錆等がでているかチェックしてもらい、必要に応じて塗装を行うのが良いでしょう。

 

最後に、屋根についてみなさまでチェックできる事をあげますので、チャレンジしてみてください。

◯地震や台風、強い風が吹いた後など家の周りに屋根材等が落ちていないか?
◯雨や雪が降ったあと樋が垂れていたり、外れていないか?
◯現在加入している火災保険(地震保険)等の補償内容の確認。
※訪問販売等の業者によるチェックでトラブルも増えていますのでご注意ください。

気になる点がございましたら、私たち匠の会までご相談ください。
専門的な立場より、アドバイス致します。

この学び場では家のメンテナンスに関する情報をみなさなにご提供させて頂きながら、自分の家を少しでも長く良い状況で住まい続ける基本的な知識を身に着けて頂ければと思います。

次回は「外壁のメンテナンス」についての話です。

 

お楽しみにして下さい。

第三話【家守り】住まいのメンテナンス~住まいのチェックリスト~

 

住まいのチェックリスト 

大切な財産の【家】を維持していくうえで、メンテナンスは大切なことです。
しかし壊れて動かなくなってからだと修理やメンテナンスでは直す事ができずに、
交換しなければならない場合など、費用が高額になってしまう場合があります。

こうなってしまう前に日頃から建物に住んでいる方がチェックをおこない、
簡単なメンテナンスを行ったり、
使い方の工夫を行うことにより【家】の修繕費を抑えるうえで大切なことだと考えられます。

参考までに一つ、
私たち匠の会会員社が定期メンテナンスで伺うときに使っている、
チェックリスト【家守シート】をご紹介いたします。

続きを読む

第二話【家守り】住まいのメンテナンス~メンテナンスのスケジュール~

メンテナンスのスケジュール  

大切な財産である建物を長く住み続けるには、定期的な点検とメンテナンスが必要になります。例えば、屋根や外壁の張替や塗り替え、水廻り製品のメンテナンス・交換、防蟻処理等のシロアリ対策、内装のリニューアル等、様々な事柄は発生してきます。

今回は、どの位のスケジュールでメンテナンスを行えば良いかをお話しします。

続きを読む

第一話【家守り】住まいのメンテナンス①〜家守りとは?〜

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

百年住宅を提唱する匠の会会員工務店は家を造るだけではなく、
その家を見守る役目【家守り】が大切な事だと認識しています。
これから全13話にて、
家を建ててから大切なメンテナンスの情報をお届けいたします。
第一話は「工務店の行う家守りとは?」どうぞご覧ください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

家守りとは

今ではアフターフォローという言葉も使いますが、昔は【家守り】と呼んで、地域の家はその地域の大工さんが守っていました。地元の工務店の家づくりでは、人と人との絆。

“私の家は「あの人」見てくれるから!”
そんな安心感を提供したい!そのような思いで【家守り】をしています。

続きを読む