匠の森プロジェクトについて
匠の森プロジェクトは、私たちが日頃使っている“木”について考え、自然への恩恵に感謝しながら、その恩返しの気持ちを形にしていくプロジェクトです。
山(もり)に、樹(いのち)をこの手で育林(もど)す。
近年、わが国における人工林が不健全な状況になりつつあることが大きな問題になっています。
これは国土の劣化、林業の衰退、CO2排出量の増加等、わが国に将来を危うくするものです。
この状況に対し、林野庁、地方自治団体、環境NPO、企業などにおいて様々な取り組みが始まっていますが、
問題の根としてあるのが「国産材需要の不安定さ見通しのなさ」です。
いくら森林ボランティア等を実施することで人工林問題を啓蒙し、また人工林の育成を行ったとしても、
現実にはその木が使われなければ、山側にお金が戻らず「伐採→植林→育成」というサイクルは回っていきません。
私たち「匠の会」は持続可能な日本の家づくりを模索する中で、これまでも和歌山県の林産地とつながり、国産材の積極活用を進めてきましたが、さらにその持続可能性を確固たるものにすべく、2007年1月「匠の森プロジェクト」の第1弾として、私たち自身が費用を負担し、和歌山県田辺市において人工林の育成に取り組む「紀州・匠の故郷(さと)」の計画をスタートさせました。
木材を使う立場にある企業が、こうした取り組みをするのは、おそらくわが国でもまだ珍しいケースではないかと思われます。
さらにこのプロジェクトでは、単に人工林を育成するだけでなく、首都圏を中心とする一般市民や、地元田辺市の小学校にも
このプロジェクトに様々な形で参画してもらい「山・街・家のつくり手」が一体となって人工林を育て、動かしていく試みを行っています。
「匠の森プロジェクト」は、
単なる”人工林を育てていくイベント”ではありません。
私たち匠の会は、このプロジェクトを通じてあまり知られることのない日本の人工林と都会に住むあなたとの橋渡しができるよう様々なステージを提供していきます。
そして、こうした活動をできるだけ多くの人に知っていただくことで、人工林・国産材などに対する関心を持っていただき、さらには同じような活動が全国に起きるようなきっかけになればと考えています。
あなたもぜひご参加ください。
そしてご自身の言葉で、60年後に今の日本の山林環境とそこにまつわる思想を、後世に伝えていって頂きたいと思います。
このプロジェクトで実現していきたいこと
●60年後、実際に「匠の故郷(さと)」で育てた木を、自分たちの家づくりに使うこと。
●様々な地域、立場の人に匠の森を開放し、
「自分たちの山」という認識をもってもらいながら、その山を訪れ、その推移をずっと見てもらい続けること。
●地元の小学生を含む子供たちがその山で学び、遊ぶ機会をつくっていくこと。
●例:生態系の定点観測、料理小屋の自力建設、フィールドアスレチックの自力建設等。
●研究者のフィールドとして使ってもらうこと。
●以上のような活動をホームページ等で逐次報告し、多くの人に山・活動を見てもらい続けること。
●この活動で得られたノウハウを公開し、同じような試みに協力していくこと。
つなげよう60年後のみらいへ Resonanceto2067
匠の森プロジェクトを通じて、その参画者はもちろん、ひいては日本人ひとりひとりの意識の中に「循環できる地球資源」を感じてもらいたいと考えています。
このプロジェクトの中心である人工林の育成作業は、樹、つまり「いのち」を守ること。
これによって、身近な生命の尊さを、日々暮らす住まいへの感謝の思いを、地球(大地)への恩返しの気持ちを、
少しずつ、しかし、確実に増やしていけると確信しています。
60年後、匠の故郷(さと)の木々で山小屋を建て、そこで次の山の成長を感じながら、みんなで楽しい時間が過ごせたらいいなと思っています。
「匠の森プロジェクト」プロジェクトリーダー
協同組合匠の会副理事長 千葉 弘幸