朝日新聞×匠の会 紙上セミナー連動企画
愛着がわく家づくりWebセミナー
Vol.2 木にこだわる
時とともに価値が増す「現し」の家
一生に一度のビッグプロジェクトともいえる家づくり。せっかくなら、とことんこだわって、子供から孫へと家族が愛着をもって住み続けられる家をつくりたい。
和歌山の森から各地の工務店へ、良質な国産無垢材を直接提供する、山長商店社長の榎本長治さんが、「木の家の良さ」を語る。
山長商店 代表取締役社長
榎本長治さん
えのもと・ちょうじ/和歌山県生まれ。1996年から現職。植林からプレカット加工までの一貫体制の確立、国産平角材で日本初のJAS規格の取得などで、国産材の信頼性を高める。日本林業経営者協会会長。
無垢の木や自然素材は
古くなるほど味が出る
最近は、若い人の間に自然志向が広がり、無垢の木や自然素材を使った家を求める人が増えています。
「木の家の良さ」とは具体的に何でしょうか。
まず、高品質なスギやヒノキなどの無垢材をふんだんに使った家は、古くなることで逆に価値が高まります。例えば、日本の古民家でよく見られる、梁や柱などの構造材をむきだしにした「現し」の家です。匠の技をもつ職人だからこそ行える「現し」の無垢の柱や梁は、年月がたつと色が変化し、なんともいえない味わい、渋みがでてきます。
次に、スギやヒノキの香りには、フィトンチッドなどの癒やし効果のある成分が含まれており、抗菌作用があるといわれています。様々な調査から、木の家がストレスをやわらげ、心や体にいい影響をもたらすことも分かっています。また、木の床や壁は適度なやわらかさをもち、衝撃をおさえる作用があるので、室内でのけがも減ります。空気中の湿度を調整する機能もあります。金属より熱が伝わりにくいため、内装に木をたくさん使った部屋は、冬でも暖かく感じます。
強度についてはどうでしょうか。木造建築は本来、とても長持ちするものです。「木は地震に弱い」といったイメージを持っている人もいるかもしれません。でも実は木は、同じ重さの鉄やコンクリートより強度があります。一般的に木の強度は樹齢の倍以上保たれるといわれています。樹齢60年の木なら、120年は強度が保てます。古民家が200年、300年と住み継がれ、法隆寺が1400年も立っていることからもわかりますね。
もっと国産材を使ってもらうためには、木材のことをよく知っている職人の力が必要です。そこで、1997年からそのような職人のそろう匠の会と、山長商店は提携し、新しい取り組みを始めました。私どもは製材やプレカット加工までグループ一貫体制で行い、匠の会加盟工務店にダイレクトに木材を届けます。
それにより、産地直送の顔が見える家づくりが可能になりました。
設計やデザインの幅が広く
リフォームしやすい木の家
木は火災にも強い素材です。燃えると表面が炭化して空気をブロックするため、それ以上内部まで燃えにくくなります。太い木材でつくられた建物は、火事になっても短時間で崩れ落ちる可能性が低いのです。
木は軽く、加工しやすいといったメリットもあります。そのため木造住宅は、設計やデザインの幅が広く、自分ならではのこだわりの家をつくりやすいといえます。リフォームも比較的簡単で、家族の成長やライフスタイルの変化に応じて間取りや設備を変更することができます。匠の会では「百年住み続けたくなる家づくり」をかかげていますが、上質な構造材でしっかりと建てた家は、子から孫へと末永く受け継いでいくことができます。
最近は国産の無垢材を積極的に使う工務店も増えてきましたが、匠の会のみなさんはとても研究熱心です。木のことを本当によく勉強されています。2007年からは、私どもが提供する山で自ら木を育てる「匠の森プロジェクト」にも取り組んでいます。近隣の小学生を集めて育林を行うなど、次世代への環境教育としても貴重な機会となっています。いずれは、この木を使って家を建てることも考えています。
匠の会のような地元で長年、信頼されている工務店のいいところは、建てた後もちょっとした修理や改修の相談に乗ってもらえることです。世代を超えて住み続けられ、年月とともに価値を増す。そのような家をつくるうえで、一生つきあっていける、信頼できるパートナーを選ぶことが何より大事です。(談)
愛着がわく家づくり
朝日新聞×匠の会 Webセミナー 次回のテーマは 「木造住宅の構造」 です。
どうぞお楽しみに。
協同組合 匠の会は、
こだわりのつまった愛着の持てる家づくりを目指すお客様のパートナーになりたい工務店集団です。「木にこだわる、本物の家づくり」をぜひ匠の会と一緒にカタチにしてみませんか?