朝日新聞×匠の会 紙上セミナー連動企画
愛着がわく家づくりWebセミナー
Vol.5 本当のエコ住宅
住む人にやさしく、健康的な家を
一生に一度のビッグプロジェクトともいえる家づくり。せっかくなら、とことんこだわって、子供から孫へと家族が愛着をもって住み続けられる家をつくりたい。そこで自然の力を有効に使うことで、快適に健康的に暮らせるパッシブデザインに基づく家づくりを提唱する住まいと環境社代表の野池政宏さんが「本当のエコ住宅」について語る。
住まいと環境社代表
野池政宏さん
のいけ・まさひろ/1960年生まれ。Forward to 1985 energy life代表理事。パッシブデザイン協議会代表理事。著書に『省エネ・エコ住宅設計 究極マニュアル』『PASSIVE DESIGN』、共著に『本当にすごいエコ住宅をつくる方法』などがある。
建物自体の工夫により
エネルギー消費を減らす
現在、様々なハウスメーカーや工務店が、環境にやさしいエコ住宅を提唱しています。エネルギー問題が深刻化するなか、社会全体の省エネを図るうえで、家庭で使われるエネルギーを減らすことはとても重要です。
最近は新築の際に、太陽光発電や燃料電池を設置し、家でつくった電気を売ることで電力会社から買う電気を減らす家庭も増えています。高効率給湯器やLED照明、HEMSなどの最新設備で省エネを図る家もあります。そのような方法ももちろん省エネ効果は大きいのですが、それだけで快適で心地よい家が実現できるわけではありません。
私はまずは建物自体を工夫して、エネルギーをあまり使わなくても快適に暮らせるようにすることが先決だと考えています。そのうえでのキーワードとなるのが「パッシブデザイン」です。太陽や風など自然の力を上手に使い、冷暖房をあまり使わなくても、夏涼しく、冬暖かく暮らせるように家を設計することをいいます。
パッシブデザインでは、太陽の光を上手に建物のなかに取り込んで部屋のなかを暖めます。同じ20度でも暖房によるものと、太陽による暖かさでは心地よさがまったく違います。夏は軒やひさし、すだれなどで日差しを遮蔽したうえで、風が家のなかを通り抜け、涼しく過ごせる設計を考えます。また昼間の太陽の光をできる限り取り入れ、照明をつけなくても済むようにします。このようなパッシブデザインの考えによる自然と調和した家での暮らしは、とても心地よく快適です。
断熱性を高めることで
家の保温性を高める
現代の省エネ住宅のベースとなっている高気密高断熱は、パッシブデザインにおいても重要な要素です。断熱性を高めることで、自然の力によって涼しくしたり、暖かくした温度を一定に保つことができるからです。
断熱性の高い家は健康的だともいわれます。暖房によって部屋の温度は高いのに、足腰が冷えたり、窓のそばに行くとヒヤっとすることがありますが、それは床や壁、窓などの表面温度が低いからです。でも断熱性の高い家はそれらの表面温度が下がりにくく、暖かく感じられます。断熱性の高い家は、手足の冷えやぜんそく、アレルギー性の病気が改善されるというデータも発表されています。
日本の昔の家は蒸し暑い夏をいかに涼しく過ごすかを重視してつくられています。軒やひさしなど日射を遮る知恵や、風通しの良い設計は、現在の家づくりにも取り入れるべきすばらしい点です。しかし気密性や断熱性が劣り、冬は寒く、暗いといったデメリットもあります。
日本の昔の家は蒸し暑い夏をいかに涼しく過ごすかを重視してつくられています。軒やひさしなど日射を遮る知恵や、風通しの良い設計は、現在の家づくりにも取り入れるべきすばらしい点です。しかし気密性や断熱性が劣り、冬は寒く、暗いといったデメリットもあります。
私たちが目指すべき本当のエコ住宅とは、パッシブデザインの発想をもとに、日本の伝統的な知恵と西洋的な技術をうまく組み合わせ、エネルギーをたくさん使ったり、我慢したりしなくても、快適に暮らせる住む人にやさしい家だと思います。 (談)
愛着がわく家づくり
朝日新聞×匠の会 Webセミナー 次回のテーマもどうぞお楽しみに。
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