第八話【家守り】シロアリについて ※画像閲覧注意・シロアリ画像あり※

今回は、みなさまの大切な財産の【家】を食糧にしてしまうシロアリについてです。

長い間放置すれば建物の構造にも支障をきたす恐れのある生き物です。
その特性を知り、気を付けなければならない事を考えてみましょう。
シロアリには大きく分けて地下型と飛来型の2種類がいます。

【地下型の代表的なヤマトシロアリ、イエシロアリについて】

地下型シロアリは、土中から蟻道(シロアリが通るトンネル)を基礎などに作り建物に侵入します。
土中から水分を摂取し、土台や柱等の木材(セルロース)を主に食害します(特に水分の多い木材を好みます。)

予防措置としては、土壌防蟻処理や、地面より1mまでの木部の防蟻処理、特に乾燥が苦手なので湿気対策を行う事が有効な手段になります。

・ヤマトシロアリ

羽アリの体長は4.5mmから7.5mmで、発生時期は4月~5月頃の日中(雨上がりの蒸し暑い時間帯)に巣から飛び出して、新たなコロニーを形成し、1つのコロニーは、1万~5万匹で形成されています。主に水回りの土台や床より1mぐらいの柱に被害が集中する特徴があります。

・イエシロアリ

羽アリの体長は6.5mm~8.5mmで、発生時期は6月~7月頃の蒸し暑い日の夕方から夜間に飛び出し、新たなコロニーを形成し、一つのコロニーは、10万~50万匹で形成されています。

ヤマトシロアリとは違い、地上から屋根裏までの広範囲に被害が発生します。個体数が多い為被害の進行も早いです。

【飛来型の代表的なアメリカカンザイシロアリについて】

アメリカカンザイシロアリは、元々日本には居なかった外来種です。主に輸入木材や家具などから日本国内に侵入し、今では全国に生息しています。
建物に直接飛来し、外部に面した木部、換気口、窓から侵入します。特に乾燥した木材を好み小屋裏の被害が多いです。
また土中には存在しないので蟻道がなく発見が難しいです。
木材の中を食害しながら移動する際、ゴマ粒状の糞を外に出す為(写真アリ)これを見つけることが早期発見につながります
羽アリの体長は6.0mmから8.0mmで、発生時期は主に6月~11月頃ですが環境によっては1年中飛来する可能性があります。
20匹程度の小さなコロニーを形成して、これが数多く点在するのが特徴です。

予防措置は建物全体のホウ酸防蟻処理などが有効とされてます。

地下型シロアリの予防措置(メンテナンス)は、日本シロアリ協会の通達により土壌汚染や健康被害の観点から以前に使われていた効果の長い薬剤は使えなくなり、持続効果が最大で5年間です。なので建物内に散布されたホウ酸系処理についても5年置きに点検を行う事が推奨されています。

尚、上記は地下型のシロアリに対する対策なので、アメリカカンザイシロアリについては現在防蟻保証がつく工法はありません。(新築の場合は保証のつく場合もあります)

シロアリの被害が起こると、皆様の大切な財産である家が破壊されてしまいます。
みなさまでも出来るシロアリ対策がありますので、是非トライしてみてください。

・建物に隣接して木を植えない。木材、段ボールを置かない。
・物置などを外壁に密着させない。
・床下点検口など、基礎を目視出来るようにする。
・土間、外壁のクラックを塞ぐ。
・室内に湿気が溜まらないように換気に心掛ける。
・タンスの下や裏の壁面を定期的にチェックする。(結露などで湿気がないか)
・普段使用していない堀こたつ、床下収納庫をチェックする。
・羽アリが発生する時期に家の周りや窓レールに羽が落ちていないか確認する。
・近所の新築、改修工事などで防蟻工事が行われた後は注意が必要になります。

気になる箇所やシロアリを発見したら、すぐに近くの工務店に相談してください。
被害が大きくなる前に、対処することをオススメします。

「匠の家守り(全13話)」では家のメンテナンスに関する情報をみなさなにご提供させて頂きながら、自分の家を少しでも長く良い状況で住まい続ける基本的な知識を身に着けて頂ければと思います。

次回は「建具(外部サッシ・内部建具)について」の話です。

お楽しみにして下さい。